トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
最終章
★葛生道子side
「道子ちゃん、可哀想に。お姉さんをこんな形で亡くすなんて」
マスコミ対策の為に姉の薫子の葬儀は親族だけで慎ましく営まれた。
クラスメイトを刺殺し、そのあとを追って自殺した姉のニュースはワイドショーにも取り上げられセンセーショナルに報じられた。
けれど、数日もすればまた目新しい事件が起こりその事件の報道が過熱し姉の事件は人々の記憶から薄れるだろう。
「はいっ……。たった一人の大切な姉だったから……辛いです」
「元気を出して。これで美味しい物でも食べて。ねっ?」
火葬場で会った父方の遠い親戚のおばさんはこんなことくらいしかしてあげられないけど、と私に万札を握らせた。
私は涙を拭くふりをして頭を下げると、そのままトイレへ向かった。
「チッ、あのババァ1万だけかよ。ケチすぎ」
個室に入り特に用を足すわけでもなく便器に腰を下ろしてバッグの中に万札を押し込んだ。
姉の薫子と杉原梨沙の両方を排除できた私は達成感で一杯だった。
物心ついた時から姉の薫子が大っ嫌いだった。
ただ1年早く産まれてきただけの癖に偉そうな態度で私に接してくるアイツを常に疎ましく思っていた。
そして、なにより同じDNAを持つあの女の思考は私と似ていて辟易した。
どうやって排除するか考えを巡らせていたある日、ひょんなことから通っていた塾で杉原梨沙の存在を知った。
梨沙は姉の薫子とよく似ていた。そして、私とも……。
自分と同じ感覚を持ち合わせている梨沙の存在をいつもうっとおしく感じていた。
「道子ちゃん、可哀想に。お姉さんをこんな形で亡くすなんて」
マスコミ対策の為に姉の薫子の葬儀は親族だけで慎ましく営まれた。
クラスメイトを刺殺し、そのあとを追って自殺した姉のニュースはワイドショーにも取り上げられセンセーショナルに報じられた。
けれど、数日もすればまた目新しい事件が起こりその事件の報道が過熱し姉の事件は人々の記憶から薄れるだろう。
「はいっ……。たった一人の大切な姉だったから……辛いです」
「元気を出して。これで美味しい物でも食べて。ねっ?」
火葬場で会った父方の遠い親戚のおばさんはこんなことくらいしかしてあげられないけど、と私に万札を握らせた。
私は涙を拭くふりをして頭を下げると、そのままトイレへ向かった。
「チッ、あのババァ1万だけかよ。ケチすぎ」
個室に入り特に用を足すわけでもなく便器に腰を下ろしてバッグの中に万札を押し込んだ。
姉の薫子と杉原梨沙の両方を排除できた私は達成感で一杯だった。
物心ついた時から姉の薫子が大っ嫌いだった。
ただ1年早く産まれてきただけの癖に偉そうな態度で私に接してくるアイツを常に疎ましく思っていた。
そして、なにより同じDNAを持つあの女の思考は私と似ていて辟易した。
どうやって排除するか考えを巡らせていたある日、ひょんなことから通っていた塾で杉原梨沙の存在を知った。
梨沙は姉の薫子とよく似ていた。そして、私とも……。
自分と同じ感覚を持ち合わせている梨沙の存在をいつもうっとおしく感じていた。