トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「ねぇ、3人は彼氏っているの?」

薫子の唐突な質問に彩乃が顔を引きつらせる。

「みんないないよ。それに、うちの学校って女子高だし、あんまり出会いないじゃん?」

「へぇー。梨沙も?」

「うん。いないけど……」

さっき彩乃がみんないないって答えていたのに、どうしてわざわざもう一度あたしに話を振ってくるのか分からない。

彩乃も少しだけイラッとしたように視線を薫子から外した。

「ふぅん。エレナもいないんだ?異性関係派手そうなのに。パパ活とかしてそうだもの」

すると、薫子はエレナのことを舐めまわすように見つめた。

さげすんだような人を見下す冷たい視線。

「……は?何それ。勝手なこと言わないでくれる?」

薫子の言葉にエレナは苛立ちを露にした。

「私はいるよ。大学生の彼氏」

「そ、そうなんだ。大学生の彼氏なんてカッコいいね」

その場を取り繕うためだけにそんな言葉を投げかけると、気をよくした薫子は鼻を鳴らす。

「まぁね。でも、彼氏の友達にもっとイケメンがいてね。その人にも言い寄られてて……ホント困るよね」

「ふぅーん。薫子、美人で大人っぽいもんね~。うらやましー」

エレナが適当な褒め方をする。

「うん、そうなの」

にっこりと嬉しそうに言う薫子の様子をみてうんざりした表情を浮かべるエレナと彩乃。

薫子を褒め称えて早くこの会話を終わらせたいというエレナの意図にはまったく気付いていない様子だ。
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