トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
―――姉の49日が終わり、平穏な日常が訪れた。
今日は親の勧めでNPO法人のフリースクールの見学にやってきた。
学校へ通う必要は感じなかったものの、特にやることもないため来ることになってしまった。
校門の前に着き、パンフレットを開く。
その時、風が吹きパンフレットがふわりと私の手のひらから飛ばされた。
そのまま飛ばされてしまっても別によかった。
でも、そのパンフレットを誰かが腰を折って拾い上げた。
「あの、これ……」
顔を覆うかのようにフードを目深にかぶってマスクをした女の子。
背は私より15センチぐらい大きいだろう。
「ありがとうございます」
にこりと笑いながらお礼を言ってパンフレットを受け取ると、彼女は柔らかい声で言った。
「私もこの学校に通ってるんです。たくさん友達もできるし、おススメですよ」
彼女の目元がアーチを描く。マスクの下ではきっと優しく微笑んでいるに違いない。
「あの、お名前は?」
「真緒です。じゃあ、また」
頭を下げて去っていく真緒の背中を目で追う。
「へぇ……」
真緒……か。どこかで聞いた名前だった気がする。
まぁ、そんなことどうだっていい。
直感的にあの子とならうまくいきそうだと感じた。
「真緒―!おはよー!!」
その声に弾かれたように顔を持ち上げる。
真緒が大勢の仲間に囲まれて笑顔を浮かべている。
真緒の背中しか見えないけれど、私はそう感じた。
1、2、3、4人……か。
どうやって排除しようか。どうやったら排除できる……?
目をつぶると、私と真緒の二人がそろって歩く姿が容易に想像できた。
真緒が私のパンフレットを拾ったのはきっと偶然じゃない。必然だ。
神様からの私へのプレゼントだ。
今まで友達ができたためしがなかった。
フレネミーとか嘘つき女とか虚言壁とかそんな言葉を投げかけられたりした。
私はそんなことをしたことなんて一度もないのに。
『道子って言ってることとかやってること支離滅裂だから!』
『自分のことしか考えてない超自己中人間』
『嘘ついたり、ハメたりしてみんなのことバラバラにしようとする』
『アンタって天使の顔した悪魔だよ。可愛いから初めはみんな騙されるけど、一緒にいたらすぐにアンタがおかしいって気付くよ!』
そんなのは戯言だ。私が優れているから負け犬がキャンキャン吠えていただけ。
真緒の周りを歩く友達よりも、私のほうがずっと優れているしずっといい友達になれるはずだ。
真緒にとってもそれがいい。
そのためにまずはこの学校に入学することが第一歩。
私はにやりと笑うと、迷うことなく新たな一歩を踏み出した。
【END】
今日は親の勧めでNPO法人のフリースクールの見学にやってきた。
学校へ通う必要は感じなかったものの、特にやることもないため来ることになってしまった。
校門の前に着き、パンフレットを開く。
その時、風が吹きパンフレットがふわりと私の手のひらから飛ばされた。
そのまま飛ばされてしまっても別によかった。
でも、そのパンフレットを誰かが腰を折って拾い上げた。
「あの、これ……」
顔を覆うかのようにフードを目深にかぶってマスクをした女の子。
背は私より15センチぐらい大きいだろう。
「ありがとうございます」
にこりと笑いながらお礼を言ってパンフレットを受け取ると、彼女は柔らかい声で言った。
「私もこの学校に通ってるんです。たくさん友達もできるし、おススメですよ」
彼女の目元がアーチを描く。マスクの下ではきっと優しく微笑んでいるに違いない。
「あの、お名前は?」
「真緒です。じゃあ、また」
頭を下げて去っていく真緒の背中を目で追う。
「へぇ……」
真緒……か。どこかで聞いた名前だった気がする。
まぁ、そんなことどうだっていい。
直感的にあの子とならうまくいきそうだと感じた。
「真緒―!おはよー!!」
その声に弾かれたように顔を持ち上げる。
真緒が大勢の仲間に囲まれて笑顔を浮かべている。
真緒の背中しか見えないけれど、私はそう感じた。
1、2、3、4人……か。
どうやって排除しようか。どうやったら排除できる……?
目をつぶると、私と真緒の二人がそろって歩く姿が容易に想像できた。
真緒が私のパンフレットを拾ったのはきっと偶然じゃない。必然だ。
神様からの私へのプレゼントだ。
今まで友達ができたためしがなかった。
フレネミーとか嘘つき女とか虚言壁とかそんな言葉を投げかけられたりした。
私はそんなことをしたことなんて一度もないのに。
『道子って言ってることとかやってること支離滅裂だから!』
『自分のことしか考えてない超自己中人間』
『嘘ついたり、ハメたりしてみんなのことバラバラにしようとする』
『アンタって天使の顔した悪魔だよ。可愛いから初めはみんな騙されるけど、一緒にいたらすぐにアンタがおかしいって気付くよ!』
そんなのは戯言だ。私が優れているから負け犬がキャンキャン吠えていただけ。
真緒の周りを歩く友達よりも、私のほうがずっと優れているしずっといい友達になれるはずだ。
真緒にとってもそれがいい。
そのためにまずはこの学校に入学することが第一歩。
私はにやりと笑うと、迷うことなく新たな一歩を踏み出した。
【END】