トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「梨沙、大丈夫?」

騒ぎに気付いた彩乃とエレナがあたしの席にやってきた。

「うん……何とか」

浮かべた笑顔がぎこちなくなる。

正直、全然大丈夫なんかではなかった。

今まで薫子のような子はあたしの周りにはいなかったし、どうやって扱ったらいいのか分からない。

あたしの言葉も気持ちも薫子にはうまく伝わらない。

オブラートに包んだ言葉や、社交辞令も通じない。

言葉も感情もあまりにも一方的すぎる。

「薫子のことでちょっと話があるの。梨沙って今日はボランティアの日だよね?夜少しだけ時間ある?」

彩乃の言葉にあたしは大きくうなずいた。

「うん。ボランティアが終わった後なら大丈夫だよ。あたしも二人と話したい」

「よかった。じゃあ、彩乃の部活が終わってからファミレスに集まろう」

「エレナ、バイトは大丈夫?」

「うん。今日は時間短いから平気」

「そっか。それなら、そうしよう」

あたし達は互いの顔を見合せて頷いた。

きっとみんな考えていることは一緒だ。

二人にも色々と相談に乗ってもらおう。

一人で抱え込むより誰かに話した方が気分も楽になるはずだ。

あたしはエレナと彩乃と別れると、学校から歩いてすぐの老人ホームへ向かった。
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