トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

拍子抜け

教室の前で大きく深呼吸をして気持ちを落ち着ける。

ずっと平和主義者になろうと努力してきた。人との争いは出来るだけ避けるのが得策だと先生もよく言っていた。

出来るだけ薫子のことは大きな問題にせずに穏便にやり過ごしたいのが本音だ。

でも、昨日のようなことが続けばこちらのほうが精神的に参ってしまう。

悪いことをしていないはずのあたしがこんなに悶々とした気持ちを抱えているなんて理不尽だ。

やっぱり言わなくちゃ。

薫子の行動が迷惑であるときちんと伝える必要がある。

自分に喝を入れて教室の扉を開ける。

薫子はいつものように自分の席に座り、本を読んでいる。

あたしはごくりと唾を飲みこむと、自分の席に向かった。
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