トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「ひどいって、どうして?」

「だって、こんなのおかしいって。こんな役割分担の仕方じゃみんなが納得できるわけないよ。別にこんなの作らなくたってその場その場で4人で楽しくやればいいだけでしょ?」

「楽しく?私だってそのつもりで作ったのに」

「ふーん。じゃあ、そもそもそこから意見が食い違ってるってことだね。きっとあたしと薫子は一生理解し合えないね。もう何言ってもムダみたい。梨沙、帰ろう」

「逃げるの?」

「は?逃げるとかじゃないから」

「彩乃だってああ言ってたけど、私に言い返せないから逃げたのよ。エレナだって、私に言い返すことができないから逃げ帰ろうとしているんでしょう?」

「そんなわけないでしょ?薫子とはいくらしゃべってもまともに会話できないと思ったから帰ろうとしてるわけ。現に今だってあたし達の会話、まったく噛み合ってないから」

「そんなことをあなたが決めるのは許さない!」

「だから、そういうのが意味わかんないの。どうして自分が100%正しいみたいな言い方するの?」

「だって私が正しいからよ」

「勝手に言ってれば?アンタ、頭おかしいんじゃない?梨沙、いこっ!」

呆れた表情のエレナは自分の席へと歩き出す。

「梨沙もそう思う……?」

薫子は大きな目を見開いてあたしの表情を伺った。

「あたしもエレナと彩乃と同じ意見だよ。あれじゃ二人が怒るのも無理ないよ。薫子も色々考えてあの工程表を作ってくれたんだとは思うけど、もう少しみんなのこと考えてあげて欲しい」

「梨沙……」

「あたしももう行くね。じゃあ」

机の横のバッグを肩にかけると、あたしは薫子に別れを告げて歩き出した。
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