トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「あー、なんかもうすごいイライラしちゃった」

昇降口で靴を履き替えながらエレナがそう漏らした。

「うん。色々考えてくれてるんだろうけど独りよがりなんだよね」

「そうそう。なんか考え方が色々ズレてんの。それを相手に押しつけようとしてくるから質が悪いんだよね。しかも、本人はきっと無自覚だからさらに質が悪い」

「そうだね。悪気があるわけではなさそうだしね……」

「悪気はないんだろうけど、あの言い方がホント鼻につく。正義感振りかざしてるけど、全然正義じゃないから」

ドクンと心臓が鳴った。なんだかどこかで聞いたことがあるセリフだ。

ズキンっと頭が痛む。

こめかみに手を当ててその痛み耐えると、

「梨沙……、大丈夫?」

エレナが心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。

「うん、大丈夫。あたし、頭痛持ちだから」

「そっか。薫子に相当ストレス与えられてるし、無理しないでね」

エレナを安心させるために笑顔で答える。

薫子だってきっとあたし達に嫌な思いをさせるためにあの工程表を作ったわけではないと思う。

ただ単純に役割分担を決めて作業するほうが効率がいいと思ったんだろう。

A4の紙にびっしり文字を書き込んでいた薫子の頑張りを無駄にするのは申し訳ない。

でも、あの役割分担では到底納得できるわけがなかった。

誰がどう考えたってあれじゃ不平不満が生まれるのは間違いない。
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