トモダチ地獄～狂気の仲良しごっこ～
クラス替えから一週間が経ち、張り詰めていた教室内の空気も少しだけゆるんできた。

彩乃やエレナ以外にも言葉を交わせる子が少しづつだけど増えてきて楽しい学校生活が更に充実する。

エレナと彩乃との関係も相変わらず順調だし、ケンカだって一度もない。

何の不満もないこの生活があたしにとって心の底から幸せに思えた。

母もつねに穏やかなあたしの姿にホッと胸を撫で下ろしているように見えた。

でも、その頃ほんの少しだけ気になることができた。

前の席の葛生さんの存在だ。

毎朝「おはよう」という挨拶のやりとりはしているものの、それ以外の接点はない。

彼女は休み時間も昼休みもいつも席に座って一人で本を読んでいる。

誰かに話しかけることも、誰かに話しかけれられることもない。

イジメられていたり、無視をされていたり、そういう雰囲気は感じられない。

でも不思議なことに、みんな彼女と距離を置いているみたい。

あえてそうしているのかどうかは分からないけれど。

でも、だからといって彼女自身がそれを気にしている様子は感じられない。

グループに属さずマイペースに過ごしたいタイプの子なのかな？

そんなある日、あたし達と葛生さんにある接点が生まれた。
< 6 / 221 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop