トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
昼休みの後、薫子は保健室から教室に戻ってきた。

特に声をかけてくることなく普段と変わらぬ様子で読書をしていた。

どうしてこちら側が今度はどんないちゃもんをつけられるのかとビクビクしなくてはいけないんだろう。

あんなに泣いて嘘までついたのにどうしてそう平然としていられるのか分からない。

薫子の神経があたしにはまったく理解できない。

あたし達3人はあの調理実習の後からずっと気が重たい。

何をしていても薫子のことばかり考えてしまうし、調理実習の時のことを思い出してはヤキモキしてしまう。

あたしの言い方が悪かったのかもしれないと考えてしまったりもした。

でも、あの場面では『椅子を片付けて』以外の選択肢はなかった。

結局は何を言っても何をしても薫子の気分で同じ結果になっていただろう。

あぁ、最悪だ。

薫子に振り回されっぱなしで嫌になる。

とにかく、気分が最悪だ。

でも、気持ちを切り替えよう。

今日は週1のボランティアの日。

学校以外の人と話をして気分を変えよう。

ボランティアの時間は薫子と離れられるし、いいリフレッシュになるに違いない。

あたしはなんとか自分自身を奮い立たせて放課後を待った。
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