トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「沖さーん、ちょっといいですか~?」

廊下の奥で沖さんを呼ぶ職員の声がする。

「はーい、今行きます!梨沙ちゃん、悪いんだけど薫子ちゃんのこと部屋まで案内してくれる?」

「……分かりました」

「よろしくね!」

笑顔で去っていく沖さんとは対照的にあたしの心の中はどんよりと曇っていた。

恐る恐る隣にいる薫子に視線を向ける。

「……どういうつもりなの?」

薫子はあたしの隣で笑顔を浮かべていた。

あたしの言葉にさらに満面の笑みになる。

「私も梨沙とボランティアをやりたかったの」

「そもそもあたし、薫子にボランティアをやってるって話したことなんてなかったよね?」

「何言ってるの。したじゃない」

「してないよ!」

あたしはそんな話したことは一度もない。

薫子がわざわざ調べたとしか思えない。
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