トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「梨沙ってば言ったことすぐに忘れちゃうんだから」

「だから、あたしは言ってない!」

「もういいじゃない、その話は」

一方的に話を辞めようとする薫子にモヤモヤが募る。

「勝手にやめないで。それに、沖さんに言ってたでしょ?あたしと薫子が親友だって。あたしの親友はエレナと彩乃の二人だよ?」

今までは薫子を傷付けないように濁した言い方しかしてこなかったけれど、今は状況が違う。

もう我慢の限界だ。

あたしは気持ちが伝わるように薫子の目を見てハッキリとした淀みのない口調でそう言った。

「前にも話したでしょ?親友って、親しい友って書いて親友っていうの」

「だから?」

「親友が二人もいるなんておかしいじゃない。心を許せる親しい友達は生涯一人しか見つからないものだと思うけど?何人もいるのは本当の友達じゃないっていうこと。深く相手のことを知らないっていうこと。梨沙は二人の表面しか見ていないもの。もちろん、あの二人も梨沙の表面しか見ていない」

「それは薫子の考えでしょ?あたしはそうは思わない。親友が一人じゃなきゃいけない決まりなんてないよ」

「ううん、それは違う。梨沙は私の親友になるべき。梨沙だってそう思っていたはずなのにどうしてそんな態度をとるの?どうして梨沙は変わってしまったの?」

「薫子の言葉の意味が分からないよ」

何を言ってるの……?

さっきからまったく話が通じない。

呆れと苛立ちが募り顔が引きつる。
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