トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

「こんにちは。私もお隣いいですか?」

すると、あたしと八木さんの会話に割り込むように薫子が八木さんの隣に座った。

八木さんが答える前に椅子に座った薫子に呆れる。


「初めまして。私、葛生薫子と言います」

「どうも。八木です」

初対面の人が苦手な八木さんがそっけなく返事をし返す。

ボランティアの数も多くはないし、一人の人に二人のボランティアが付く必要はない。

一対一のほうが安心して話しやすいという人も多い。

あたしは仕方なく薫子に席を移ってもらうことにした。

「あのさ、今、あたしと八木さんでお話してるから薫子は違う――」

「――八木さんって歩けないんですか?」

あたしの言葉を最後まで聞くことなく薫子が明るい口調で言った。
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