トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

あの後、看護師の助言ですぐに病院へ向かった八木さんは右肘骨折と診断された。

全治3か月の大ケガだった。

しかも、骨折してしまった肘は利き腕だ。

今後、食事などの日常生活にも不便が生じるだろうと、電話越しの沖さんは心配そうに話していた。

そして、沖さんは申し訳なさそうな声でこう付け加えた。

「ボランティアを引き受けてくれた梨沙ちゃんには本当に感謝してるの。利用者さんもみんな梨沙ちゃんが来てくれるのを楽しみにしていたのよ。でもね、今回こういうことになって……施設側としてもきちんと再発防止の措置を取らないといけないということになったの。だから、しばらくボランティアは――」

「分かりました。大丈夫です」

「本当にごめんね。よくやってくれたのに本当に残念だけど……。また募集することになったらぜひ来てね」

「はい。今までありがとうございました。八木さんにも……お大事にしてくださいとお伝えください」

「えぇ。じゃあ、またね」

電話を切るとあたしは大きなため息をついて部屋のベッドに横になった。

施設を出た後も八木さんのケガが心配で仕方がなかった。

打ち身や打撲で済みますようにと願っていたけど、そんな願いは儚く散った。

肘を骨折するなんて……。物凄く痛かったはずだ。

「ハァ……」

溜息をつく。

あたしのせいだ。

こうなったのは全部、あたしのせい。
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