トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

翌朝、教室に入ると薫子はあたしがやってきたことに気付き笑顔を見せた。

でもあたしはそれに気が付かない振りをして薫子の席を素通りした。

薫子から距離を置こうと決めていた。

薫子に近付かなければ今まで通りの学校生活を送れる。

もう甘い顔はしない。薫子にどう思われたって関係ない。

このままではこっちが参ってしまう。

椅子に腰かけて机の中に教科書をしまっていると薫子が振り返った。

「梨沙、昨日あれから電話くれなかったでしょ?どうして?」

不服気な表情を浮かべている薫子が視界の隅に入った。

「うん。疲れて寝ちゃったの」

「私、待ってたんだから。寝ちゃう前に連絡ぐらいできるでしょ?」

「そうだね」

すべての教科書を机にしまうと薫子には目も向けずにスッと席から立ち上がる。

薫子の言葉にいちいち反応するのはやめる。

無反応を決め込めば薫子だって声をかけてくるのはやめるだろう。
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