トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「……おかしい」

購買でパンを買おうと財布を取り出した薫子ばポツリと呟く。

「おかしいって何が……?」

「入ってるお金が明らかに少ないの」

「えっ、どういうこと……?」

お金を払ってパンを受け取った薫子は、購買から離れた場所に来ると再び財布の中身を確認した。

「100円少なくなってる」

「100円?」

「そう。今朝は3281円入っていたの。それが、3181円しか入っていなかった」

「学校に着く前に何か買ったとかそういうことはないの?」

「どこにも行っていないし、買ってもいないわ」

「薫子がお財布の中身を勘違いしてたとか」

「ありえないわ。私、1円単位まできっちり管理してるから」

「じゃあ、どういうこと……?」

100円だけを誰かが薫子のお財布から盗んだっていうこと?

「100円、誰かに盗まれた」

薫子の目が座る。

「私のことを誰かが貶めようとしているのね」

一点を見つめたまま冷めた表情を浮かべている薫子にぞっとする。

何を考えているのかまったくわからない。
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