トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
本人が嘘をついていると自覚しているのかどうかは分からない。

でも、今の反応からすると多分無自覚だろう。

彩乃から指摘されても慌てるそぶりは1ミリもみせなかった。

「そういえばさ、今日の放課後暇?もし暇なら映画でも観に行かない?」

すると、彩乃がそんな提案をした。

「えっ、でも彩乃今日部活は?」

あたしがそう尋ねると彩乃が笑顔で答えた。

「今日は顧問の用事があって急きょ中止になったの。休み久しぶりだしどうかな?」

「いいね!あたし暇だし行く~!」

「あたしもいけるよ」

あたし達はそう答えると、薫子に視線を向けた。

薫子はいったいなんて答えるんだろう。

「私も暇だし付き合ってあげてもいいけど」

当たり前のようにそう答えた薫子に彩乃が苦笑いを浮かべる。

「じゃあ、4人で行こうか。何みる~?」

エレナがスマホで上映中の映画を調べている。

彩乃もエレナも……嫌っている薫子と一緒に映画に行くのいやじゃないのかな……。

映画館で薫子に何かしようとか考えてるわけじゃないよね?

あたしは悶々とした気持ちを抱えながら3人のやりとりを眺めた。
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