コールドブック
Ⅰ 出会い
「ふぁあ~!よく寝た。」
今日は目覚めがいい。
こういう日は、ラッキーな日なのだ。
「智<サトル>~!早くしないと
遅刻するわよぉ!!」
階段の方から母さんの声がする。
「わかったよ!ってか起きてるし!」
そう言ってベッドから降りる。
「ほら、早くしなさい!もぅ!」
せっかちな性格をしている母さんは
いつにも増してイライラしているようだ。
その原因はたぶん親父。
きっと、昨日は帰ってこなかったのだろう。
「いってきまぁす!」
俺はため息まじりに家を出た。