カゼノトウリミチ
卒業式の遅刻
幼稚園の卒園記念にもらった、
ピンクのスヌーピーの目覚まし時計、
そんなに気にいってるとか、
意識したことはないけど、
気がついたら、今日まで、ずっと使っていた。

可愛らしいルックスに似合わず、
破壊的な音量で、毎日あたしを
心臓発作みたいにして、
起こしてくれる。

この子との付き合いも長いなぁ、
おばあちゃんになっても、
使ってたりするのかな、あたし。


ってボンヤリ、ながめていたら……。

9時半?

「???」


「???」


あたしは何故か、
その時計をひっくり返して眺めてみる。
「ムムム…」
「ひょっとして、夜なのかな。」

窓際のカーテンを引いてみる、

思いっきり、【朝】
すがすがしい、【朝】


…………
★☆★☆


全力ダッシュで学校へ行くか、
開き直って、ゆっくり行くか、
起してくれなかったお母さんにキレにいくか、
スヌーピーと絶好するか、

あたしは脳みそ、グルグルさせながら、
必死で、色々シュミレーションする。

でも、せっかくの卒業式だし、
髪の毛バッサバサのノーメイクでなんて行きたくない。


これが結論。


式は確か10時からのはず、
今から急いで用意して10時に家を出れば、
10時半には着ける。はず、(-_-;)ってホントカ・・・オイ。


そうすれば、最後の合唱にも間に合う、
……はず(゚ー゚ヾ)。



卒業式の実行委員のくせに遅刻なんて、
みんなになんて言われるだろう。


でも、そんなことより困るのは、
亮平に変な目で見られたり、
しないかって事の方。

式の途中で入っていったりして、

「てめぇみたいなヤバンな女とは、
付き合ってられねぇ。」

なんて言われたら、どうしよう。
「あぁぁぁ☆★」

一人で悶絶してる間に45分を過ぎている。

「しまった。ネガティブな妄想してる、
余裕はないわ。急げ!」



あたしは髪の毛バッサバサにしながら、
自転車を走らせた。
(本当は自転車通学禁止)



























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