カゼノトウリミチ
直接体育館に行けばいいよね。

時計は10時35分。

5分遅刻。
自分をごまかした。


この学校の体育館は、
新校舎から、旧校舎をつなぐ
大きな渡り廊下を越えたところにある。


2階に体育館って、
結構珍しいんじゃないかな。


静かな職員室前を、
スリッパをパタパタいわせながら通る、

考える人の銅像を横切って、

卵の殻を張り合わせて作った、
リコーダーを吹いてる人の絵が、
壁に貼ってある階段をかけのぼる。

1990年、卒業制作。
なんで授業で作らされる人物は、
こんなに気持ち悪いんだろう。

音楽室の近くに来たとき、
ピアノの音が聴こえた気がした。


まさかもう始まっちゃった。


焦って走り出した。


やっぱり。遅かった。
歌の途中でなんか入れないよ。

「これは、ミカさん、
重役出勤ですか。」


体育館の前の手すりを背もたれにして、
亮平が座りこんでいる。



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