【完】俺の隣にいてほしい。
「えーっ、怖いね。緑丘の男子って、ヤンキーばっかりなんでしょ?」


「柄の悪い人しかいないよね。私、ああいう系の男子と付き合うとか絶対無理」


「男子校だから、みんな女の子に飢えてるんだって。絡まれないように気を付けなくちゃね」


みんな口々に緑丘の生徒のことを悪く言うけれど、確かに今朝の光景を見たら、そのとおりなのかもしれないと思う。


私も絡まれたりしたら怖いし、今度から電車に乗る時は、気を付けよう。


出会いが欲しいとはいっても、相手が誰でもいいわけじゃないよね。


「はぁ。私にも素敵な出会いがないかなぁ~。恋がしたいなぁ」


仲間内の一人が、決まり文句のようにそう呟いたのを聞いて、みんなうんうんと頷く。


私も頷いてみせる。


だけど、どこかで自分には縁のないことのようにも思えて。しばらくはずっとこんな平凡な日が続いていくんだろうなと、どこかで思っていた。


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