【完】俺の隣にいてほしい。
ふとした瞬間に、椿くんは今ごろ何をしてるのかな、なんてことを考えてしまう。


椿くんからの連絡を、彼と会うのを、いつも楽しみにしている自分がいる。


男の子のことで、こんなウキウキした気持ちになったのは初めてかもしれない。


そのまま少しその場でボーっとした後、そろそろ帰ろうかなと思い立ちあがったら、ふと数メートル先に、自転車を押しながら歩く金髪の男の子の姿が見えた。


最近金髪の人を見かけただけで、椿くんかもしれないなんて反応してしまう自分がいる。


だけどまさか、椿くんがこんなところにいるわけがないよね。


バッタリ出くわすなんて、そんな偶然あるわけが……。


そう思いながら、その金髪の男の子のいる方向まで歩いていく。


しかしながら、近づけば近づくほど、そのうしろ姿が椿くんに似ているような気がして。不審なくらいジロジロ見ていたら、次の瞬間その人がこちらを振り返った。


目が合った瞬間、驚きのあまりドキッと心臓が跳ねる。


ウソッ! 椿くん……。


本当に椿くんだ。


まさか、こんなところで会えるなんて……。


「あれ? 心音?」


すると、私が声をかけるより先に、椿くんが気づいて声をかけてきてくれた。


「あっ、椿くん」



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