【完】俺の隣にいてほしい。
自転車を手で押しながら、こちらに向かって歩いてくる彼。


私服姿の椿くんを見るのは初めてなので、なんだか新鮮で、ドキドキする。


制服姿ももちろんカッコいいけれど、私服もオシャレですごくカッコよかった、


「マジかよ、すげぇ偶然。何してんの?」


そう尋ねる椿くんも、私を見つけてすごく驚いているみたい。


「えっと、買い物してて、今から帰ろうと思ってたところで。椿くんは?」


「俺は今バイト終わって、その帰り。すぐそこのコンビニでバイトしてんだよ」


「えっ、そうなんだ。お疲れ様っ」


そっか。バイト帰りだったのか。


確かに椿くんから以前バイトしてるって話は聞いたけれど、そのバイト先がまさか、この桜田駅にあるコンビニだったなんて。


めちゃくちゃ生活圏内だから、もしかしたら私、行ったことがあるかもしれないよ。


すると、ふいに椿くんが私の姿を上から下までじーっと見てきて。


「へぇ。心音って、私服だとそういう感じなんだな」


まさか、服装についてコメントされるとは思ってもみなかったので、急にすごく照れくさい気持ちになった。


「あ、いや……ま、まぁ」


ど、どうしよう。そんなに見られたら、恥ずかしいよ……。


一応今日はお気に入りのワンピースを着てきたけれど、別に特別オシャレをしているわけでもないし、椿くんみたいにオシャレな人が見たら、地味だって思うかもしれない。


「すげぇ可愛い」


「えっ!」



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