【完】俺の隣にいてほしい。
思わぬことを言われたものだから、ビックリしてしまった。


「まさかっ、私は大丈夫だよ。全然モテないし、知らない男の子とはうまく話せないし……」


私が全力で否定してみせると、椿くんが繋いだ手をギュッと強く握ってくる。


そして、私の顔をじっと覗き込んできたかと思うと、不敵な笑みを浮かべながら。


「でもまぁ、心音は俺のだから、他の奴にはやんねぇけどな」


なんて、とんでもないことを口にしたので、心臓がドクンと思いきり飛び跳ねた。


ウ、ウソ……。ちょっと待って。なにそれ。


それは、本気で言ってるのかな?


「え、あ、あの……っ」


衝撃のあまり、真っ赤な顔でうろたえる私。なんて答えたらいいのかわからない。


すると、そんな私を見て椿くんはクスッと笑って。


「なーんて。冗談だけど」


イタズラっぽくそう告げたので、拍子抜けして一気に体の力が抜けてしまった。


同時にちょっとだけガッカリする。


なんだ、ビックリした……。今一瞬、心臓止まるかと思ったよ。


でもまさか、冗談に決まってるよね。椿くんが本気でそんなこと言うわけないか。



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