【完】俺の隣にいてほしい。
すぐさま声のするほうを振り返ったら、そこにはなんと、ビックリするほど綺麗な顔をした、金髪の男の子が立っていた。


思わずギョッとして目を見開く私。


ウソッ! もしかして私今、この人とぶつかったの?


すごい美少年……。


しかも彼、よく見ると両耳にピアスが光っていて、黒のブレザーに水色のカッターシャツ、緑色のネクタイ、グレーのチェックズボンという見覚えのある制服を着ている。と、いうことは……。


それに気づいた瞬間、思わずヒヤッとして変な汗が流れた。


や、やばい。この人、緑丘工業高校の生徒だ。


しかも、金髪にピアスだなんて、いかにも不良っぽい外見だし。


イケメンだけど、すごく怖そうだよ……って、あれ?


でも私、この金髪、どこかで見たことがあるような……。



そう思って彼を見つめたまま固まっていたら、なぜか彼もまた少し驚いたような表情で私の顔をじっと見ている。


なんだろう。もしかして、会ったことがあるのかな。


すると次の瞬間、その金髪の男の子はふと、私の足元に落ちたスマホに目をやると、指を差して。


「あっ。っていうかそれ、俺のスマホ……」


えぇっ、ウソッ!?


すかさずそのスマホを拾い上げると、唖然とした顔で呟いた。


「ウソだろ。バッキバキじゃん」


その様子を見て、サッと血の気が引いていく私。


ど、どうしよう。私ったら、こんな不良男子相手になんてことを……。


絶対怒らせちゃったよね。当たり前だ。スマホ壊したんだもん。


何されるかわかったもんじゃないよ。


「ああぁ……あの……っ、ご、ごめんなさいっ!!」


すかさず頭を下げて、必死で謝る。


「本当にすいませんっ! ちゃんと弁償しますからっ!」



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