【完】俺の隣にいてほしい。
そう言われて、確かにちょっとお腹がすいてはいたけれど、そんなこと言い出せないので遠慮してしまう。


「わ、私は大丈夫だよっ。おかまいなく」


そしたら次の瞬間、ギュウゥ……と小さくお腹の音が鳴ってしまって。


ウソッ、どうしよう。


静かな部屋の中、おそらくそれは確実に椿くんの耳にも届いていたと思う。


恥ずかしさのあまり思わずバッと片手で顔を押さえたら、椿くんがそんな私を見てクスッと笑った。


「なんか、前もこういうのあったよな」


言われて、椿くんと初めてハンバーガーショップに行った時のことを思いだす。


そうだ。私ったらあの時も、こんなふうにお腹の音を聞かれてしまったんだっけ。


「うぅ、ごめんね。恥ずかしい……」


やだなぁ、もう。私ったら、どうして二度も同じことをやらかしちゃうんだろう。


すると椿くんはそこで、何か思いついたようにソファーから立ち上がると、私の頭をポンポンと撫でてきた。


「よし。ちょっと待ってろ。今なんか作るから」


「……えっ!?」



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