【完】俺の隣にいてほしい。
思わぬ発言に、目を丸くする私。


ちょっと待って。作るって、椿くんが自分で?


椿くんは制服のワイシャツを腕まくりしたかと思うと、再びキッチンへ向かう。そして、そのまま何か作り始めたみたいだった。


ど、どうしよう。これは私、ここで待っててもいいの?


それとも何か、お手伝いしたほうがいいのかな?


急に手持ち無沙汰になったものだから、なんだかますますそわそわしてしまう。


それにしても椿くん、いったいなにを作ってるんだろう。料理とかしそうなイメージないのに。


そう思った私は、気になって結局覗きに行ってしまった。


そーっとキッチンに足を踏み入れ、彼に近づいてみる。


すると椿くん、何やら片手に卵を持っていて、コンコンと台の上に打ち付けたかと思うと、そのままボウルにパカッと割り入れた。


それを見てまたビックリする。


ウソ。椿くん、卵を片手で割れるんだ。


ずいぶん慣れた手つきなんだけど、気のせい?


「あ、あの……なに作ってるの?」



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