【完】俺の隣にいてほしい。
私がおそるおそる尋ねたら、椿くんはふいにこちらを向くと、笑顔で言った。


「なんだと思う?」


「えーっと……」


なんだろう。見た感じお菓子っぽいけど……。


椿くんはそのままボウルに次々材料を入れたかと思うと、泡だて器でかき混ぜ、フライパンに火をつけた。


そしてバターをひき、ボウルの中身の生地を焼いていく。


これはもしかして、パンケーキ?


ふわっとおいしそうな香りがこちらまで漂ってきて、ますますお腹がすいてくる。


それにしても、椿くん、めちゃくちゃ手際がいいんだけど、これは普段から作り慣れてるってことなのかな。


まさか男の子の家に招かれて、手料理を作ってもらえるなんて思ってもみなかった。


なんか意外すぎて、またイメージが変わっちゃうよ。


すごいな。カッコいいなぁ……。


自分は家であまりすすんで料理をすることがないものだから、ひたすら尊敬のまなざしで見てしまう。



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