【完】俺の隣にいてほしい。
ねぇそれ、偉すぎるよ。なんていいお兄ちゃんなの。


「っていうか椿くん、弟がいたんだね。いくつ離れてるの?」


「3コ下だよ。今中二。すっげー生意気でムカつくけどな」


「そうだったんだ。でも、お弁当作ってあげるなんてすごく優しいね」


想像しただけでも微笑ましくて、顔がほころんでしまう。


「そうでもねぇよ。しょちゅう兄弟ゲンカしてるし。心音は兄弟いるの?」


「うん。私はお兄ちゃんが一人いて、でも、今は大学生だから家を出て一人暮らししてるの」


「へぇ、兄貴がいるんだな」


「うん。でも、料理が全然できないから、外食ばっかりしてるんだって。だから、こんなふうに料理ができる椿くん尊敬しちゃうよ。私もあんまりできないから」


なんて、思わず自分のことまで話してしまい、言った後で少し恥ずかしくなる。


すると椿くんはそんな私を見て、いたずらっぽく笑った。


「そっか。じゃあ、また腹が鳴ったらいつでも俺ん家来ればいいじゃん。心音の好きなもん作ってやるよ」


「えっ……!」


思わずさっきお腹の音を聞かれたことをまた思い出して顔が熱くなる。


「ありがとう。でも、さっきのは忘れて……」


私が真っ赤な顔でそう告げたら、椿くんはアハハと笑いながら、私の頭を優しく撫でてきた。


うぅ、恥ずかしい……。でも、椿くんってやっぱり優しいなぁ。


知れば知るほどあったかくて、思いやりにあふれてて。最初想像していたイメージとは、全然違う。


こんなに素敵なところばかり知ってしまったら、ますます惚れなおしちゃうよ。



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