【完】俺の隣にいてほしい。
べつに、椿くんのことを警戒していたわけではまったくないけれど、そんなふうに言われたら、意識してしまう。


ますます心拍数が上がって、落ち着かなくなる。


そしたらそこで、椿くんが急に私の手をギュッと握ってきて。


「それとも、もっと恋人っぽいことしたい?」


「……っ」


思いがけないことを言われたものだから、一瞬心臓が止まるかと思った。


「えっ、いや、あの……っ」


ねぇ、ちょっと待って。これは本気で言ってるの? 


それともからかってるの?


どんなリアクションをしたらいいのかわからないよ。


真っ赤な顔でうろたえる私を見て、また椿くんがクスクスと笑う。


「はは、冗談だよ」


な、なんだ。ビックリした……。


ホッとした半面、どこか残念なような気持ちになる。


それにしても私、すぐ真に受けちゃってバカみたいだな。恥ずかしい。



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