【完】俺の隣にいてほしい。
すると、椿くんがそんな私の顔を覗き込んできたかと思うと、こう言った。


「心音って、すぐ赤くなるから可愛いよな」


その瞬間、ドキッと跳ねる心臓。


どうしよう。可愛いって言われちゃった。


椿くんは何げなく口にしただけなのかもしれないけれど、そんなふうに言われたら期待してしまいそうになる。


「あ、それより学ラン貸すんだったな」


そこで椿くんはそう言ってベッドから立ち上がると、クローゼットの前へと歩いていく。


そして、中からハンガーにかかった学ランを取り出すと、こちらに持ってきてくれた。


「はい、これ。べつに汚しても大丈夫だから」


「わぁっ、ありがとう。ほんとに助かる」


手に取った瞬間、彼が中学時代これを着ていたのかなと想像すると、思わず顔が緩んでしまいそうになる。


椿くん、イケメンだから学ランもすごく似合ってたんだろうな。見てみたかったなぁ、なんて。



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