【完】俺の隣にいてほしい。
「いや、俺、許さねぇとか一言も言ってないんだけど」


「え……?」


「そもそも俺がぶつかってスマホ落としたのが悪いんだし。だから、弁償はいらねぇ」


え、ウソ……。


てっきりめちゃくちゃ怒られると思っていた私は、なんだか拍子抜けしてしまう。


もしかして、そんなに怒ってない……?


壊しちゃったのに、弁償はいらないだなんて。ほんとにいいのかな?


すると彼は、そんな私に向かって、一言。


「そのかわり、しばらく俺の女よけになってくんない?」


……へっ?


突然思いがけないことを言われて、一瞬固まってしまった。


ちょっ、ちょっと待って……。女よけ!? なにそれ。


「えぇっ! あのっ、それは、どういう……」


驚きのあまり動揺しまくる私に向かって、彼は涼しい顔で答える。


「まぁ簡単に言えば、彼女のフリだよ」


「か、彼女のフリ!?」



< 20 / 311 >

この作品をシェア

pagetop