【完】俺の隣にいてほしい。
こうして見ると、心音と氷上はお似合いというか、すごくいい雰囲気に見える。


やっぱり心音は、あいつに好意があるんだろうか。


今回の文化祭も、もしかしたら心音があいつを誘ったのかもしれないし、二人で回る約束をしてたのかもしれない。仲いいんだもんな。


もしかしてさっきの電話、あいつだったとか? 心音のやつ、やけに慌てた様子だったし。


まさか、な。


色々と悪い想像が膨らんで、急激にテンションが下がりはじめる。さっきまでの楽しい気分がウソのように、どんよりとした気持ちになる。


クソ、見るんじゃなかったな。


すると、そんな俺の様子に気が付いたのか、隆太が声をかけてきた。


「椿、どうした? なんか顔色悪くね?」


「いや、べつになんでもねぇよ」


慌てて心音たちのいるほうから視線を逸らす。


隆太にまであの二人が一緒にいるのを見られたら、また心音が浮気してるだとか騒がれそうで、それも困るし。


心音のあんな姿を見たら、こんなふうに友達にウソついて彼氏ぶってんのもバカみてぇだなと思う。


俺のものなんかじゃないのに……。



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