【完】俺の隣にいてほしい。
「なぁ、どうする？」


黙り込む私に彼はそう問いかけると、じーっと顔を覗き込んでくる。


その距離の近さに、わけもなく心拍数が上がってしまってしまう私。


うぅ、どうしよう……。


正直に言うと、引き受けたくない。だって、怖いし。


ただでさえ男子に免疫がないのに、こんな不良っぽい男の子とどうやって接したらいいのかわからないし。できれば関わりたくないタイプの相手だ。


でも、もとはと言えば、こうなってしまったのは私のせいで。私が彼のスマホを壊したのがいけないんだよね。


だから、何かしらのお詫びはしなくちゃいけないわけで。


さっきの様子から、彼も困ってるのは本当みたいだし、ただ少しの間彼女のフリをするだけでいいっていうのなら……。


「……わ、わかりました」


散々迷った挙句、気弱な私はしぶしぶその頼みを引き受けてしまった。


それを聞いて、彼は一瞬驚いたように目を見開くと、再び笑みを浮かべる。


「サンキュ。助かる」


そして、割れたスマホの画面を操作しながら尋ねてきた。



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