【完】俺の隣にいてほしい。
「じゃあさ、そこにフォトスポットがあるから、一緒に写真だけでも撮ろうよ~」


しまいには、一人の女が馴れ馴れしく腕を掴んできて。


うんざりした俺は、隣にいた隆太の肩をポンと叩くと、サッとその腕を離した。


「わりぃ、隆太。あとはよろしく」


「えっ? 椿?」


そして、その場から逃げるように走り出す。


「あっ、ちょっと待ってよー!」


「いやーん! 椿く~ん」


後ろで女たちが騒ぐ声が聞こえたけれど、俺は振り向くことなくそのまま廊下を突っ走っていった。


……はぁ。マジで踏んだり蹴ったりだな。


まさか、こんなところであいつらにまで会うとは。


とことんついてねぇ。


そのまま階段を駆け上がり、二年生の教室がある二階へ向かう。


ふと後ろを振り返ると、さすがにもう誰も追いかけてきてはいないみたいだったので、ホッとして速度を落とし、歩くことにした。


隆太たちとはまた、あとで合流すればいいよな。



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