【完】俺の隣にいてほしい。
そのままドアの裏で耳を澄ませていると、心音の小さな声が聞こえてくる。


「え、えっと……うん。実は」


そしたら彼女はなんとそこで頷いてみせたので、その瞬間俺の中に衝撃が走った。


……ま、マジかよ。


好きな奴なんていたのかよ。初耳なんだけど。


それってまさか……。


「キャーッ!! そうなんだ~! 心音ちゃんもやっぱり恋してるんだね~」


「ちなみに、どんな人? 同級生?」


「うん。あのね、他校の人なんだけど 実は今日学祭に来てくれてて……」


その言葉を聞いて、さらに衝撃を受ける俺。


ちょっと待て。今日学祭に来てるって、もうほぼ決まりじゃねぇか。


ドクドクと鼓動が早くなって、変な汗が出てくる。


いや、落ち着け。まだあいつだと決まったわけじゃない。


でも、他に誰が……。


「もしかして、さっき一緒にいた人?」


するとそこで、一人の女子がそう問いかけるのが聞こえて。心音はまた照れくさそうに頷いた。


「……う、うん。そう」



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