【完】俺の隣にいてほしい。
お昼ご飯を食べたあとは、椿くんと鳥のショーを見たり、ペンギンやフラミンゴなどの動物を見たりして楽しんでいたら、あっという間に夕方になってしまった。


楽しいと、時間が過ぎるのが本当に早く感じる。


閉園時間が近づいてきたので、最後に観覧車に乗って帰ろうということになり、私と椿くんは隣にある遊園地のエリアへと向かった。


ジェットコースターやメリーゴーランドなどのアトラクションがたくさん並ぶその奥には、大きな観覧車がそびえたっている。


乗車の列にはカップルがたくさん並んでいて、私と椿くんはその列の後ろに並び少し順番を待った後、係員に案内されてゴンドラの中に乗り込んだ。


二人で向かい合って座ると、ゴンドラがゆっくりと上昇し始める。


「わぁっ。私、観覧車なんて乗るの久しぶり」


私が窓に手を当てながらはしゃぐように言ったら、椿くんも窓の外を見ながら呟いた。


「俺も。久しぶりに乗ったな」


それを聞いて、意外に思う。


そうなんだ。椿くんはモテるから、今までも彼女とこんなふうにデートで観覧車に乗ったりしてそうだなって思ってたけど、そうでもないのかな。


椿くんが久しぶりに一緒に乗った相手が自分だなんて、ちょっと嬉しいかも……なんて。


「動物みんな可愛かったよね」


「そうだな。特にあのひよことアルパカ」


「ふふ。あの寝ちゃったひよこ、すごく可愛かったよね。アルパカも椿くんに懐いてたもんね」


「そうそう」



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