【完】俺の隣にいてほしい。
「大丈夫か?」


「うん。ごめんねっ……」


やだ私ったら、何やってるんだろう。こんな抱きつくような体勢……。


そっと体を離し、顔を上げると、再び彼と目が合う。


その距離の近さに思わず心拍数がまた上がってしまう。


よく考えたら、こんな密室の中で好きな人と二人きりでいるなんて、すごい状況だよね。


なんだか急に恥ずかしくなってきちゃったよ。


「心音」


するとそこで、椿くんが突然真剣な表情で私のことを見つめながら、名前を呼んだ。


「な、なに……?」


そんな顔でじっと見られたら、ますますドキドキしてしまう。


だけど、その瞳はなぜだか少し、切なげに揺れているようにも見えて。


椿くんはそれ以上は何を口にするでもなく、無言のままそっと片手を私の頬に添えてきた。


その行動に驚いて、ドキッと飛び跳ねる心臓。


あれ? どうしたんだろう。急に。



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