【完】俺の隣にいてほしい。
なんて思っていたら、そのままゆっくりと椿くんの顔が近づいてきて。


えっ、ウソ……。


突然の出来事に、私の頭の中はパニック寸前だった。


どうしよう。どうしよう。


思わずぎゅっと目をつぶる私。


心臓がうるさいくらいドキドキいって、緊張のあまり体が震えてくる。


ねぇ、これってもしかして……。


だけど、そのまま唇が触れるのかと思いきや、椿くんは急に私からスッと身を離して。


それから頭に片手を乗せ、ポンポンと撫でるように叩いてきた。


「……ごめん。なんでもない」


「えっ」


なんでもないって……。


まさかの展開に拍子抜けしてしまい、ポカンとした顔でその場に固まる私。


椿くんは目をそらすかのように窓の外に顔を向け、ボソッと呟く。


「もう、てっぺん過ぎたみたいだな」



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