【完】俺の隣にいてほしい。
それを聞いて、だから今日わざわざ彼はチケットをおごってくれたんだと気が付いた。


お礼って、そういうこと?


もしかして、だから今日デートに誘ってくれたの?


「長い間付き合わせて悪かったな。でも、心音と一緒にいられて楽しかった」


そんなふうに言われても、突然すぎて心がついていかない。


だってまさか、この関係に終わりが来るなんて。もっと、一緒にいられると思ってたのに。


「な、なんで? どうして急に……」


震える声で問いかけたら、椿くんは少し困ったような表情をしながらも、ハッキリとした声で答えた。


「どうしてって、まぁ……いつまでもこんな遊びみたいなこと付き合わせられねぇしな。心音は勉強とか、他にも色々やることがあるだろ」


「で、でも……っ」


「俺だって、そろそろ彼女つくりたいし。心音もこのままじゃ彼氏つくれなくなるしな」


「えっ……」


そこで彼の口から飛び出してきた言葉にまた衝撃を受ける。


「だから、これからはお互い自由にやろうぜってことで」



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