【完】俺の隣にいてほしい。
それは、あまりにもショックなセリフだった。


なにそれ。じゃあ、それが本当の理由……?


もしかして、ちゃんとした彼女が欲しくなったからってことなの?


私との関係を続けてたら、他の子と付き合うことができないから。


じゃあ私は結局、ただの彼女役でしかなかったのかな。


特別になれただなんて、勘違いだったのかな。


「そ、そっか……」


そんなふうに言われてしまったらもう、何も言い返せない。


だって、元はといえば彼のスマホを壊してしまって、その弁償がわりに彼の女よけになるっていう話だったんだから。


こんなふうにある日突然終わってしまっても、おかしくはなかったんだ。


だけど……。


椿くんと過ごしてきた日々が、あまりにも濃すぎて。あまりにも楽しかったものだから。


私はすっかり勘違いしてしまっていたんだ。このままずっとこうしていられるんじゃないかって。


だけどもう、おしまいなんだ……。


だって、彼がそうしようって言ってるんだから。


それを拒否する権利なんて、どこにもない。


私には、彼のことを縛る資格なんてないから。


たとえ私が、彼のことを好きだとしても……。



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