【完】俺の隣にいてほしい。
椿くんがあまりにも優しくしてくれるから、私はつい期待して、いつからか完全にうぬぼれてしまっていた。


もしかして、椿くんも私に好意を持ってくれてるんじゃないかって。彼の特別になれたかもしれないなんて。


いつかは本物の彼女になれるかもしれないなんて。


だけど、それは私の勘違いだった。


バカだよね……。


私みたいな平凡な子と、椿くんのようなイケメンが釣り合うわけがないのに。


あの思わせぶりな態度も、優しさもきっと、彼氏のフリをしてくれていたからなのに。


椿くんは本当は、私のことをどう思っていたのかな。


いつだったか、氷上くんにヤキモチを焼いているように見えたのも、あの時、キスしようとしたように見えたのも、私の勘違いだったのかな。


今となってはわからない。


でも、椿くんが最後に言ったあの言葉が彼の本音なら、この関係を終わらせたいと思ったのは彼のほうで、私とこれ以上一緒にいる気はないってことだよね。


もしかして、好きな子ができたのかもしれないし……。


ダメだ。考えれば考えるほど苦しいよ。



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