【完】俺の隣にいてほしい。
真っ先に私の存在に気が付いた隆太くんが、こちらを見ながら大きな声で叫んだ。


それに反応して、こちらに目をやる椿くん。


その瞬間パッと目が合って、再び心臓が飛び跳ねる。


「心音」


椿くんは私の名前を呼ぶと、私の目の前までゆっくり歩いてきてくれた。


それだけで、なんだか泣きそうになってしまう。


「あ、椿くんっ」


「よっ。元気?」


笑顔で普通に話しかけてくれる彼を見て、ホッとする。


「うん。あの、椿くんは?」


「俺は相変わらずだよ。心音はどう? 塾頑張ってる?」


「あ、うん。今日もこのあと塾で……」


「そっか。偉いじゃん」



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