【完】俺の隣にいてほしい。
戸惑いを隠せないでいる私に向かって、氷上くんが真剣な表情で告げる。


「俺が藤宮さんのこと、笑顔にするから。付き合ってほしい」


ドキンドキンと胸の鼓動がどんどん早くなっていく。


ど、どうしよう。なんて答えたら……。


正直、氷上くんの気持ちはすごく嬉しいし、私だって、氷上くんのことは友達としては大好きだし、大切な存在だって思ってる。


だけど、男の子として好きなのかって言ったら……それは違うんだ。


恋愛感情は、きっとない。


だって、私は知ってしまったから。恋する気持ちがどんなものなのか。


どうしようもなく、誰かを好きになる気持ちを。


他の人じゃ、ダメなんだ。


それがたとえ、かなわない恋だとわかっていても……。


私の心の中にいつもいるのは、たった一人。彼だけなんだ。


だから、氷上くんの気持ちには、やっぱり……。



< 273 / 311 >

この作品をシェア

pagetop