【完】俺の隣にいてほしい。
「……ありがとう。氷上くんの気持ち、すごく嬉しかった。だけど……」


傷つけるのが怖くて、一瞬口ごもる。


でも、ちゃんと言わないと。氷上くんは、真剣に気持ちを伝えてくれたんだから。


「ごめんなさいっ」


「えっ……」


はっきりと断ったら、その瞬間彼の表情がピシッと固まったのがわかった。


それを見たら、自分も胸がズキンと痛む。


「じ、実はね、私、好きな人がいるの……」


おそるおそる告げたら、氷上くんは再び目を見開いた。


「その人にはきっともう、振り向いてもらえないんだけど、それでもどうしても忘れられなくて……」


「そう、なんだ」


そして一瞬何か考え込んだように黙り込むと、何やら納得したような表情をしながらうんうんと頷いてみせて。


「もしかして、最近藤宮さんが元気なかったのって、その好きな人のことが原因だったりする?」



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