【完】俺の隣にいてほしい。
以前、駅で傷だらけの男の子を見かけて、心配になった私はドラッグストアでいろいろと物を買い込んで。


渡そうと思ったのはいいけど、不良っぽい見た目で話しかけるのが怖かったから、その場に置いて去っていったことがあったんだっけ。


その時はただ何も考えずにやったことだったけど、まさかあれが、椿くんだったなんて……。信じられない。


顔まではよく見てなかったから、全然わからなかった。


「覚えてる?」


「う、うん。思い出した。あの時の男の子、椿くんだったの?」


「そうだよ。俺、あの時すっげぇ嬉しくて。それからずっと心音のこと気になってた」


そんなふうに言われたら、なんだか胸が熱くなる。


どうしよう。なにそれ。


そんな前から私たち、出会っていたなんて。


そして、そんな前から椿くんが私のことを想っていてくれたなんて。



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