【完】俺の隣にいてほしい。
椿くんがそう言って頬杖をついたまま、私の顔をじーっと見てくる。


うぅ、どうしよう……。なんだか目力がすごくて、目をそらせない。


そんなにじっと見つめられたら、恥ずかしいよ。


でも、こうして見るとやっぱり椿くんって、すごくイケメンだなぁと思う。


くっきり二重で、まつ毛は女の子みたいに長いし、見つめられたら吸い込まれそうになる大きな瞳。そして、スッと通った鼻筋に、薄い唇。


色白で、全体的に色素が薄いから、金髪でも違和感がない。


こんなに顔が整ってる男の子、今まで出会ったことがないかも。


どうしてこれで彼女がいないのか不思議なくらいだ。


そんなことを考えながらボーっと彼のことを見つめていたら、椿くんが急にハッとした顔をしたかと思うと、視線を横にそらし、オホンと咳払いをした。


「つーか、俺と心音、朝の通学電車でたまに会ってたよな」


「えっ?」


「心音は気づいてなかったかもしんねーけど」


そう言われて驚く私。


ウソッ。通学電車? そうだっけ。



< 39 / 311 >

この作品をシェア

pagetop