【完】俺の隣にいてほしい。
そういえば、朝の電車でたまに緑丘の男の子たちと乗り合わせてたけど、最近乗る車両を変えたからあまり見かけてなかったなぁ。


もしかして、あの中に椿くんが? 言われてみれば、金髪の男の子が一人いたような……。


そこで私はふっと、忘れかけていた一週間ほど前の出来事を思い出した。


「あっ」


そうだ。そういえば、あの時緑丘の人たちにナンパされそうになった時に……。


「えっと、もしかして、いつも5人組くらいのグループでいる……」


「そう、それ。南桜田駅からいつも乗ってる」


そう言われてハッとして、ポテトをつまんでいた手が止まった。


あぁ、やっぱり! それじゃあ、あの時見た金髪の彼は、椿くんだったんだ。


だから椿くんとぶつかった時、どこかで会ったような気がしてたんだ。この金髪も見覚えがあるなって。


電車で男の子たちを見かけても顔まではよく見ていなかったし、緑丘には明るい髪色の人がたくさんいるし、私ったら人の顔を覚えるのがすごく苦手だから、すぐには分からなかったよ。


「い、言われてみれば、会ったことあるかも……!」


「だろ? しかもこの前、俺の友達が悪乗りして心音のことナンパしようとしてさ。あの時はマジでごめん」


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