【完】俺の隣にいてほしい。
そのまま彼は、テーブルに少し乗り出すようにして、顔を近づけてきた。


驚く私の手を掴んだまま、ぱくっとポテトを口にする椿くん。


……ウソッ。本当に食べた!


その瞬間、何とも言えない恥ずかしさが込み上げてきて、全身がかぁっと熱くなる。


なに今の。食べさせてあげたみたいになっちゃったよ。


「ん、美味い」


椿くんがそう言って、フッといたずらっぽく笑う。


思いがけない彼の行動に、私の心臓はもうドキドキしっぱなしで。一体どんな反応をしたらいいのかわからなかった。


あぁ私、絶対に今、顔が真っ赤になってると思う。


男の子ってやっぱり、何を考えてるのかわからないよ。


でも、なんだろう。椿くんと一緒にいると、緊張するんだけど、居心地が悪くはないというか……。


意外と普通に話せている自分にびっくりしてしまう。


最初はもっと怖い人なのかと思ってたけど、話してみたら全然そんなことないみたいだし、むしろ、想像以上に優しくて驚いた。


やっぱり、本当はとてもいい人なのかなぁ……。



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