【完】俺の隣にいてほしい。
椿くんは騒ぎ立てる南女の子たちから離れるかのように、そのまま私の手を引いてゲームセンターの奥へと歩いていく。


だけど、手を繋いだ途端私が黙りこくってしまったので、それに気が付いたのか、途中で立ち止まると心配そうに声をかけてきた。


「おい、大丈夫か?」


「えっ……!」


「もしかして、手繋ぐの嫌だった?」


思わぬことを聞かれて、慌てて否定する。


「い、いや、そんなことないよっ! ただ、私、男の子と手を繋ぐのって初めてだから、緊張しちゃって……」


正直に答えたら、椿くんは驚いたように目を見開いた。


そして、遠慮したように私の手をパッと離す。


「初めてって……マジかよ。ごめん」


「あ、で、でも別に、嫌なわけじゃなくて……っ!」


「えっ?」


「あ……」


口にした途端、恥ずかしくなる。


やだ私、何言ってんだろ。


これじゃまるで、手を離さないでって言ってるみたいだよね。



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