【完】俺の隣にいてほしい。
「おいおい~、この前俺らにはナンパするなとか言っといて、自分はちゃっかり花園の子とデートかよ~」


ツンツン頭の彼がジトッとした目つきで椿くんを肘で小突く。


「なんだよお前、実は自分が狙ってたわけ? なんで黙ってたんだよ~」


「最近放課後さっさと帰るからおかしいなと思ってたんだよな」


他のメンバーからも口々に冷やかされた椿くんは、ちょっと気まずそうに眉をひそめる。


「別にいいだろ。俺だってデートくらいすんだよ」


だけどなぜか、私のことを彼女だと誤解されても否定しようとはしなくて。


いいのかな……。


椿くんの友人たちは、そんな彼の反応を見て、やれやれと言った顔で笑ってみせる。


「くっそ~、羨ましいぜ!」


「まぁ、椿は今まで彼女いなかったのがおかしいくらいだもんなー」


そして、それ以上はしつこく詮索してこなかった。


「また明日詳しく話聞かせろよー!」


そんなふうに告げると、彼らは手を振りながらその場を去っていく。



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